8月5日の第22節湘南ベルマーレ戦から6節負けなしが続いていた好調なサンフレッチェ広島。
前年からミヒャエル・スキッペ氏を監督に据えて挑んでおり、広島で満足した出場機会を得れなかった野津田岳人がボランチとして台頭し日本代表に選ばれるまで成長し、ルーキーの満田誠が初年度からレギュラーを勝ち取る活躍を見せたりするなど、2021年シーズンとは打って変わって選手を入れ替えて戦力の底上げに成功。
その結果、リーグ戦では通年でいうとACLプレーオフ出場圏内に当たる3位という成績を残し、天皇杯は準優勝、ルヴァンカップは初めての優勝を果たす成績を残し、初年度から結果を残したスキッペ体制のサンフレッチェ広島。
開幕前には特に目立った移籍はなく、反対に快進撃を見せてくれた昨シーズンの主力を残留させ、現有戦力の確保に成功。
そして、昨シーズンはコロナにより入国規制から開幕に出遅れたスキッペ氏が、今シーズン初めて開幕からチームに合流することができ、万全の体制で開幕を迎えた広島。
その甲斐あってか、前半戦は好調をキープし一時期はリーグ2位に位置付けていたが、5月末に行われた第11節の浦和レッズ戦で敗戦し、次の試合である第16節の京都サンガFC戦で勝利したが、上位争いをしていた川崎フロンターレ戦、横浜F・マリノス戦で連敗し、更に下位に位置するアルビレックス新潟戦でも敗戦を喫し、悪い流れを止めれずに上位と差がついてしまった。
悪い状況を打破するため、広島ユース出身でセレッソ大阪のレギュラーとして活躍していた加藤陸次樹を完全移籍で獲得。
課題の得点力不足の解消に向けて動いてきたが、2シャドーの一角で攻撃陣の中心としてチームを支えていた背番号10森島司が名古屋グランパスへ完全移籍と、上位進出に向けて重要なピースを移籍によって欠いてしまう結果に。
だが、横浜F・マリノス時代に得点王を獲得しJリーグ屈指のスキルを誇りながら、豊富な選手層と自身の不調により出場機会を得られなかったマルコス・ジュニオールを完全移籍で獲得し、森島とは違うタイプであるが攻撃陣を支えるであろうエースを獲得することに成功。
その直後に行われた第23節の浦和レッズ戦で上位相手に逆転勝利を果たし、次節の川崎フロンターレ戦では、マルコス・ジュニオールの芸術的なゴールと後半アディショナルタイム7分というラストプレーという展開で右膝前十字靭帯損傷の大怪我から復帰した満田の勝ち越しゴールでゲームをものにし勢いに乗った。
そこから第27節まで負けなしが続き、第27節終了時点ではACLプレーオフ獲得枠の3位と勝ち点2差の7位と夏場の移籍から快進撃を見せているのである。
広島といえば、最前線からのハイプレスが特徴的であり、ある試合では前半戦まで最終ラインの平均的位置がハーフライン付近というとんでもないデータが生まれた試合もある。
それは、シーズン開幕前のキャンプに秘密があり、平均標高1132mと高地や山地が多くあるトルコで、13日間休みなしのハードなキャンプを送ったためである。
標高が高いため空気が薄い場所で、休みなしというハードなキャンプを送ることでシーズンフルで走り切ることができる体力を身につけることができていることから、とんでもない走行距離とハードな戦術を駆使し戦い抜くことができるのである。
現に、先ほども述べた通り夏場以降は負けなしと素晴らしい戦績を残しており、猛暑が激しい日本であるにも関わらず、足を動かし続けることができているのはシーズン前のキャンプがあったからである。
それに加え、日本代表GK大迫敬介を始めとした、鉄壁の守備に加え、足技に長けているため最終ラインからパスを回すことができることで、即効だけでなくポゼッションを高めて攻撃を仕掛けることもできる。
センターバックでレギュラーを張っている元日本代表DF塩谷司のキック力に長けており、両サイドハーフの中野就斗と志知孝明もキック力に長けているため、パスを回し相手の隙が出た際には、前線へのロングボールからチャンスメイクを演出することができることは、まさに脅威的である。
攻撃バリュエーションが豊富且つ、豊富な体力からの激しい守備によってスキッペ体制の広島は好成績を収めている。
今年は思った以上の成績を残すことができていないが、それは昨シーズンの広島が出来すぎていたからであろう。
森島も抜け、攻撃陣の顔がガラッと変わったことで、これから新戦力が更に広島のサッカーにマッチすればこれ以上魅力的なサッカーもないだろう。
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