先月30日、ガンバ大阪のMF山本理仁が、ジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)のシント=トロイデンVVへ期限付き移籍をすることが発表された。
期間は2023年7月1日から2024年6月30日までの1年間であり、背番号は「6」である。
・山本理仁の経歴
山本は、2001年12月12日生まれの21歳であり、東京ヴェルディの下部組織で育ってきた。
U-15から世代別日本代表に選出され続け、2019年より高校2年生ながら飛び級でトップチームに昇格を果たした。
第12節の東京ヴェルディ戦で85分からプロ初出場を果たし、第17節の鹿児島ユナイテッド戦でプロ初スタメン出場を果たす。
6月下旬からボランチやセンターミットフィルダー、時には左サイドバックなど様々な守備的ポジションでスタメン固定されるようになり、第31節のレノファ山口戦で梶川諒太からのパスを奪われる形になったが、ジャイルトン・パライバがゴールを決め、山本にプロ初アシストが記録された。
結果的に最後までスタメン固定され、ルーキーイヤーから23試合(リーグ戦22試合、天皇杯1試合)に出場し、2アシスト(リーグ戦2アシスト)をマークし、高校3年生とは思えない存在感を見せ、サポーターやチームから今後の活躍に大いに期待したくなるシーズンを過ごすことができた。
だが、2020年シーズンは開幕戦こそセンターバックでフル出場を果たしたものの、次節からベンチ外が続き、その後は基本的にベンチからの出場が主となってしまう。
悔しいシーズンを過ごしていたが、第15節の京都サンガF.C.戦ではスタメンで出場を果たし、前半ロスタイムにて右サイドの小池純輝からのパスを左足でトラップし、振り抜き鮮やかにゴールネットを揺らしプロ初ゴールをマーク。
ゴール後の喜び具合から、非常に嬉しかったんだろうなっとこちらにも伝わるほど気持ちが伝わるゴールであった。
試合もクリーンシートで勝利し、攻守においてチームに貢献することができた。
その後は、スタメンとベンチを行き来するようになったが、安定して試合出場機会を与えられ、35試合出場し1ゴール1アシストと、年齢的には高卒1年目に値するシーズンと考えると十二分の結果を残すことができた。
2021年シーズンは開幕戦の愛媛FC戦では、相手ディフェンスのクリアボールのこぼれ球を上手くトラップし流し込みゴールを決め、3-0の勝利に貢献し幸先良いスタートを決めることができたが、シーズン通してレギュラー奪取することはできず。
だが、持ち前のユーティリティー性からボランチだけでなく、左サイドバックや攻撃的ミットフィルダーなど様々なポジションを任され、31試合(リーグ戦30試合、天皇杯1試合)に出場し、1ゴール(リーグ戦1ゴール)をマークした。
2022年シーズンは、ボランチのレギュラーを奪取し、攻めては第4節のザスパクサツ群馬戦でバスケス・バイロンからの縦パスを右サイドで受け取り、ゴール前まで1人で持っていき、最後はGKの股を抜いてゴールネットを揺らし1-0の勝利に貢献し、守っては中盤でのボール奪取から相手の攻撃の芽を積むプレーが光り、2試合のベンチ外があるものの開幕8戦負けなしというチームのスタートダッシュに大きな貢献を見せた。
そんな活躍から、6月にはAFC U-23アジアカップ2022の日本代表メンバーに選出される。
主にダブルボランチの一角として6試合全てに出場し、主力として3位の結果に貢献を果たすことができた。
だが、リーグに戻って2戦目の第24節のFC琉球戦で左足内側楔状骨(ないそくけつじょうこつ)を骨折してしまう。
それでも、東京ヴェルディでのプレーや代表での活躍が評価され、7月24日に怪我中であるがガンバ大阪への完全移籍が発表された。
(移籍前までは、17試合に出場し1ゴール1アシストをマークした。)
だが、足の治療が必要のため当初はベンチにも入ることができなかったが、第31節の柏レイソル戦で83分から途中出場を果たし、初めてJ1のピッチに上がることができた。
今シーズンJ1では2試合の出場にとどまったものの、移籍によりステップアップを果たした21歳への期待はますます高まるばかりであった。
そのため、世代別代表にはコンスタントに選ばれており、ポルトガルU-21への勝利やドイツU-21との対戦の引き分け時には先発で出場しチームに貢献。
2023年シーズンは、イスラエル代表のネタ・ラヴィやダワン、怪我から復帰した副キャプテンの山本悠樹など ガンバ大阪の豊富な戦力層により、途中出場が主となり、15試合に出場(リーグ戦11試合、カップ戦4試合)し、2アシスト(カップ戦2アシスト)をマークした。
6月には、世代別の海外遠征メンバーに選ばれ、イングランドU-21では、アーセナルの10番エミール・スミス=ロウなどプレミアリーグに所属しているメンバー達相手に、ゲームキャプテンを務めた上、先制点を決めて勝利に貢献するなど、パリ世代を代表するメンバーとして大きな期待にも応える活躍を見せ続けている。
海外相手の活躍も含めて、今年22歳と若きレフティーのポテンシャルは国内外問わず注目を集めており、この度、シント=トロイデンVVへの期限付き移籍が決まったのである。
・シント=トロイデンVVの現状から山本に期待されていること
今シーズン12位と前年の9位に比べて順位を落としてしまったシント=トロイデンVVは例年通り伊藤涼太郎、小川諒也、岡崎慎司との契約延長など多くの日本人選手と契約を交わしている。
また、CrossBorder株式会社とのスポンサー契約や、にしたんクリニック、株式会社マルハン東日本カンパニーとのプラチナムスポンサー契約を新たに結ぶなど、日本との繋がりをより強くしている延長として山本を獲得したのではない。
今シーズン、ボランチを主に務めていた3選手が今シーズンをもって移籍したことで、選手層が薄くなり、その代替として山本がピックアップされたのである。
例えば、195cmと屈強な身体から繰り出されるフィジカルの強さと、それに反比例するかのような繊細な足元のスキルの高さから中盤で圧倒的な存在感を見せほぼ全試合出場していたフランク・ボヤはロイヤル・アントワープへレンタルバック。
191cmとこちらも高身長を生かしたフィジカルと、まるでフォワードではないかと思わせるほどのドリブルスキルとシュート力の高さが持ち味のギニア代表モリー・コナテは、KVメヘレンへ移籍が決定。
更に、わずか18歳でブンデスリーガデビューを飾り、チームの状況を伺って冷静な判断がきロッコ・ライツもレンタル元が手放すわけにはいかず、シーズン終了後ボルシア・メンヒェーングラードバッハにレンタルバックされた。
守備的ミットフィルダーが少ない現状のため、即戦力として活躍してくれそうな人材を見つけないといけない。
すると、クラブでも多くの試合出場経験がある上で、国外の大会やナショナル戦でもある程度実績や経験がある人材でないといけない。
且つ当チームのボランチは守備専門というよりかは、昨年までの人材を見ていると攻撃と守備の両面を期待でき仲介役として試合をうまくコントロールできるプレーヤーがフィットしている印象を抱くことができる。
そうなると、左足の正確なキックコントロールに定評があり、守備においてもボール奪取力がある上、まだ21歳ながらリーグ戦123試合も出場経験があり、世代別の日本代表にも定期的に選ばれていて、プレミアリーグで活躍しているイングランド代表相手に得点まで入れてキャプテンとしてもチームを引っ張る実力がある山本にスポットライトが当たるのは頷ける話であろう。
期間満了後に買取オプションがあるのも、中盤の底としてフィットするポテンシャルが山本にはあるとチームから判断されているからであり、それほど山本は期待されている。
今後、間違いなく日本代表を背負うプレーヤーであるからこそ、まずここで土台を作り直していただき、行く行くは5大リーグに挑戦してもらい、遠藤航のように海外クラブでもキャプテンを張れるほどの人材になっていただきたいと私は期待している。
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