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  • 原翔太朗

選手未経験監督が率いるタレント集団セレッソ大阪-好調な要因は"可変性"-

 昨シーズン5位と躍進を遂げたセレッソ大阪。


 2021年8月下旬に成績不振によりレヴィー・クルピ氏が解任され、新監督に就任された小菊昭雄氏は、大学卒業目前の1998年から下部組織のコーチとしてアルバイトで採用されて、その後社員としてセレッソ大阪一筋で働き、スカウトやトップチームのコーチを経て監督に至った異色の経歴を持っている監督である。



 セレッソ大阪の特徴といえば、流動的なポジションニングからスペースを生かした攻撃である。


 そのためには、セレッソ大阪の選手たちのサッカー脳が非常に鍵となることは明白であろう。


 守備の時には4-4-2で前からのプレスをかける一方、攻撃においてはゆっくりと時間をかけて3バックや、4-4-3などポジションを入れ替えながら相手の視野やマークをずらしていき、空いたスペースを横や後ろから走り込みパスを通す形で多くのチャンスを作り出している。




 例えば、先週行われた第27節の鹿島アントラーズ戦の前半5分に、香川真司と毎熊晟矢で最終ライン付近でパス交換を繰り返し行い、センターバックにボールが渡った瞬間、ジョルディ・クルークスが右サイドに開いたことと、香川への危機感が薄れたことでマークが外れて縦のラインが空いた瞬間にゴールへ走り込むプレーは、セレッソ大阪の武器の一部であり、パス回しでボールポゼッションを支配し、隙を見せて空いたスペースへのオフザボールの動き出しは全選手統一してできている印象を抱く。


 それも攻撃の際には、喜田陽が1ボランチとして両センターバックとトライアングルを組みパス回しを主導していることが、多くの効果を生み出している。


 1つ例を挙げると、両サイドバックが攻撃に向けて前線に上がることができるため、日本代表に初選出され、元ウィングのポジションでも活躍していた経験がある毎熊の攻撃センスを生かすことができたり、喜田と中盤の底でコンビを組んでいる香川をより前に上げることができるため、攻撃の厚みを増す効果がある。



 それだけでなく、セレッソ大阪には個人のスキルに長けている選手が数多くいるため、1vs1の争いにも目が離せない。


 右ウィングでレギュラーを張っているジョルディ・クルークスは、アビスパ福岡から今シーズン加入をし、戦術が4-4-2になったことで自身のドリブルの特徴と戦術がマッチし徐々に出場機会を増やし、現在は縦への動き出しや1vs1からのチャンスメイクには目が離せない選手である。


 さらにカピシャーバは、アグレッシブな攻撃参加が特徴的で、胸骨逞しいボディーから繰り出されるスピードあふれるドリブルは迫力があり、運動神経を生かした空中戦の強さはセレッソ大阪の攻撃に大きなプラスとなっている。


 また、開幕戦のFC東京戦にて決勝点となるゴールを決めて勝利に早速貢献するなど勝負強さにも定評があり、試合後には自分絵自分のチャットを踊るなどチャーミングなところも素敵なところである。




 そして、横浜F・マリノスから加入したレオ・セアラは動き出しが良い点に加え、ドリブルの個人技にも長けているため得点バリュエーションが多い選手であり、相手の脅威として存在感が非常に大きい選手である。


 第27節終了時点で11得点とリーグ5位の成績を残しており、ストライカーとしてディフェンスのマークを引き寄せるだけでなく、要警戒されていても相変わらず得点を挙げており、7,8月という夏場でも7試合4得点とセレッソ大阪の上位進出に大きな役割を果たしている。


 さらに、攻撃陣にスポットライトを当てると、移籍前までJ2で26試合13得点と得点王に輝いていた渡邉りょうを藤枝MYFCから獲得。


 マークの外し方や、ゴールへの嗅覚も鋭く、鋭いドリブルから抜群のシュート感覚で今シーズンからゴールを量産し、J2で最もブレイクした選手である話題の選手がJ1に個人昇格を果たし、スーパーサブとしてほぼ毎試合に出場。



 さらに、現在19歳で高校1年にJリーグデビューを果たした北野颯太は、172cmと小柄ながらも抜群のドリブルスキルとスピードで観客を魅了してくれ、セレッソ大阪の将来だけでなく日本の未来を担う存在。


 そんなタレント集団のセレッソ大阪が、戦術的にも可変性を身につけることができたなら、それぞれの選手のレベルアップにもつながるとともに、チームのさらなるステップアップに大いに近づいてくる。


 セレッソ大阪の新しい挑戦は果たして結果として実ることができるのか残り試合に注目だ。



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